カープ観戦記
〜初めてのマツダズームズームスタジアム〜

心地よい風に背中を押されてパーティーゾーンに入ると、すでに日本ハムの選手たちがバッティング練習を行っていた。
「うぁー! すごーい!」
最初はただ、感嘆詞と形容詞の感想だけ。
グランドが想像より狭く感じたのは、たんに私が大きくなったせいか(そんなバカな!)、あんまり久しぶりのせいで、以前の感覚が記憶の中から消えてしまったせいだろう。
とにかく、風の存在感がすごい。
広い木のテーブルにベンチ、グランド側の先端にもベンチがあり、どこからでもゆったりと観ることが出来る。
屋根があるので、雨に濡れる心配も、日焼けの不安もない。
もうすぐ運ばれる料理にも期待が膨らむ。

1週間前の天気予報は絶望的な傘マークだったのに、日ごとにカープファンの強い思いが雨雲を抑え込み、とうとう前日には晴れマークになった。
むしろ初夏のような、真っ青な空にギラギラの太陽が、出発を待つ笑顔たちを照らす。
野球好きなわりには、ちょっと遠くて不便という理由で、もっぱらTV観戦に甘んじていた私にとって本当に久しぶりのスタジアム観戦だったので、最後に観戦したバスツアーでもらったバット型のメガホンをお伴に、リュックに遠足みたいにあれこれ詰め込んで、子どものように毎日、お天気や先発予想で盛り上がっていた。
わくわく感は、たぶん前日がピークで、ナイターで先発が予想外のマエケンこと前田健太と、予想通りのダルビッシュの、互いに一歩も引かない投手戦の末、9回でダルビッシュを降ろした日ハムに対して、9回を投げ切ったマエケンに、赤松が執念のサヨナラヒットをプレゼントしてくれた。
エース同志の投げ合いと、ホームゲームの醍醐味であるサヨナラ勝ちという、これ以上ないようないい試合の翌日でもあった。
それでも連勝の期待(乱打戦の末の勝利)と、いい時は続かないという今年のカープを象徴する不安が入り混じる。
実は私の中では、試合の勝利はオマケのようなもので、今日は初めてのマツダスタジアムを堪能しようという大らかな目的に切り替わっていた。
で、期待のスタジアム。
試合前に外周を回ってみる。
試合を見ながら、1周出来るのが(どこからでもグランドが見える)このスタジアムの売りになっている。
座席も実に多種多彩で、砂かぶり席、バルコニー席、ベランダ席、ウッドデッキ席、寝ソベリア・パーティフロア・パーティデッキ・ビックリテラス・スポーツバー、ect.
とにかく、明らかに以前の野球観戦のみの球場ではない。
通路も広く、お店もバラエティに富んでいる。
日ハム戦ということで、北海道名産アスパラの鉄板焼きの屋台もある。
まるで、ビーチのようなパラソルの下に美味しそうなお弁当やスナック、飲み物が乗った丸テーブルとデッキチェアーには、家族ずれが憩う。

カープのユニホームを着たカップルも飲み物を抱えて楽しそうに歩いている。
晴天の日曜日のディゲームということもあって、3万人を超す人がそれぞれの楽しみ方をしている。
ここは、常にグランドに熱い視線を注ぎ、一投一打に一喜一憂するという野球の楽しみ方ではなく、家族で楽しめるアニューズメントパークのような感覚に大変身していた。
球場のあちこちで見られた、野球好きの赤ら顔の野次をおらんでいたおっさんの姿も、野球というテーマパークの中に埋もれてしまったようだ。
ただ、相変わらずライト側の外野席だけは別世界で、そこだけはたぶんカープを愛して、体を張って応援する人たちの空間なのだろう。
でも、なんだかそこに集中しすぎて、以前のライト側外野全体が醸し出す迫力が感じられない。
細切れになりすぎてしまって、一方では選択肢がありすぎて(金額的にも)複雑化している感じも否めない。
結局、試合が始まると、スタジアムを楽しむ余裕はなくなり、必死にメガホンを叩き、一ファンになって勝利を願いつつ応援をしていたのだが、結果は今季のワースト試合に並ぶかもしれないほど、フラストレーションのたまる試合であったらしい。
先発の今井は2回で早々にマウンドを降り、決して好調ではなかった相手のピッチャーを打ち崩すことが出来ず、残塁の山。
栗原の連続マルチヒット記録も途切れ、たくさんのピッチャー(篠田とか高橋健とか!)を見られたからいいか・・・などと言う悲しい言い訳を自分自身に言って聞かせる。
観戦ツアーには料理がついていたので(これに関しては今一つでした)since1957年のカープうどんも、心そそられたバーガーもアイスクリームも食べられなかったので、平日ナイターで、開場と共にスタジアム入りして、もっともっと次回は堪能したい、そう思える場所だった。
一通りの場所で(只見も含めて)見るという将来的な目標を掲げてみようか!(なんちゃって)