寿命

家電製品の寿命って、人のそれと似ている。
終焉は突然やってくる。
煙がもくもく出るのを合図に、火を吹いて動かなくなった掃除機。
脱水をしている最中にガタガタ、ガランガランと派手な音を立てて、その後さっぱり動かなくなった洗濯機。
20年以上も頑張って風を運んでくれた扇風機も、ある日突然風が消える。
モーター系は何故かサドンデスが多い。
冷蔵庫はたいていその機能が徐々に弱くなり、果たすべき仕事をこなせなくなる。
氷が作れなくなり、冷蔵機能が弱り、大きな音がして、やがてその役目を終える。
決して手軽に買えるものではなく、それでも今の生活には無くてはならない存在なので、ちゃんとサインをくれたのに、いざとなると慌てふためく。
エアコンは故障のほうが多く、小まめに掃除をしていると案外長生きしてくれる。
二階のエアコンはもう三十年も淡々とその仕事を続けてくれているが、最初の2,3年は、室外機の細いホースの中に虫が巣を作り、水が流れずに逆流して、室内機から水が溢れ出るようなことがあった。
若気のいたりだったのか。
修理に来てもらうと、さすがプロは原因をすぐに突き止め、ホースに何回か息を吸って吐くと、淀んだ水と共に小さな原因の塊を排出して、無事に復活を遂げた。
あの人は確かに名医だった

1階のエアコンは、10年前にダイニングとリビングに同時に設置した。
高いほうが調子悪く、なかなか冷えない、温まらない。
もう諦めて買い替えを考えると、何故か頑張りだす。
今年は猛暑で酷使したにもかかわらず、頑張りぬいてくれた。
一番困るのはパソコンで、突然クラッシュしたら、全てのデータが消えてしまうから、大事なものをちゃんとバックアップしておかなければならない。
その生きていた証を。
案の定、ある日突然クラッシュして、大いに困った。
でも、常にそういう可能性を覚悟しているから諦めがつく
家電製品は値段で評価出来ないことが多い。
その性能も寿命も、似たような環境で、同じようにメンテナンスをしていても、予想がつかない。
5年保証の6年目でオシャカになる不届きものもあれば、天寿を全うして、手を合わせたくなるような有難いものもある。
年老いても、頑張ってくれている家電製品は愛おしくさえある。
日々の生活では、その存在を当たり前のように感謝すらしないことも多い。
無くなって初めて、その便利さを痛感し、存在に感謝する。
そして、買う時には、前以上に進化した便利なものが届けられる。
そこだけが、人と違う。
先日、実家の冷蔵庫が故障した。
冷凍機能が突然効かなくなった。
購入した電気屋では埒があかず、メーカーの人が見に来てくれた。
なんでも、中の詰まりによって、冷気が回っていないらしい。
もちろん原因不明で、修理すると7万円はかかるらしい。
でも、稀に突然直る例もあるらしい。
1℃〜4℃を行ったり来たりしていた冷蔵も、最近はちゃんと1℃に落ち着いてきた。
相変わらず冷凍は出来ないが、今はそんなに不自由はないので、経過を見守り中だ。
まるで、闘病しているような6年目の冷蔵庫。
母は、「頑張れ!」と、毎朝声をかけているらしい。
家電は家電できっと、大事に使ってもらって、自分の役目を無事に果たして、みんなに感謝されてその天寿を全うしたいに違いない。

家電製品の生涯って、つくづく人のそれと似ている。