運命の日

しばらくぶりにプロ野球ドラフト会議をTVで観た。
古くは、法政の田渕がクジに泣かされ、江川がすったもんだのゴリ押しで念願の
巨人に入団するも、江川問題と後世に語られる社会問題となり、友情や誠実より
自分の夢を選んで、早稲田にダーティーなイメージを植え付けるようになった桑
田・清原の一件、政治汚職のような一場裏金事件等々、数多くのドラマを見せて
くれた。
(いやぁ、ここまでのエピソードは後から見た、ウィキペディアの「プロ野球ド
ラフト会議に詳しく説明してありました」
有名選手による誰でも知っているエピソードは、ドラフトの季節になると語られ
ることが多く、本人には迷惑な話だろうけど忘れることはない。
しかし、毎年指名された人、されなかった人のそれぞれのドラマは壮絶なものに
違いない、ということも容易に想像できるのが、毎年語られるドラフト前後のワ
イドショー番組のおかげだろう。
今年のドラフトは、4年前甲子園を沸かせて一躍恋人にしたい男性、弟にしたい男
子、息子にしたいNO1と、多くの女性に愛されたハンカチ王子こと斎藤祐樹君の登
場で、ここ数年にない盛り上がりをみせた。
そのほか、今年は大学生に豊作の年ということで、斎藤君以外にも有望視されて
いる選手が目白押しだった。
そして、クジ引き。
「あれ? いつの間に大学生や社会人までそうなったん?」
そう、近年は高校生と大学生・社会人のドラフトは別の日程で行われ、指名重複
によるクジ引きは高校生だけかと思っていた。
どうも、3年前から以前の方式に戻って、高校生も大学生も社会人もみんな一緒の
土俵に上がり、逆指名なるものが行われなくなっていた。
とんとドラフトまで熱い視線を送らなくなった昨今、私の知らない間に時代の流
れは、相変わらず右往左往しているようだ。
しかも、昼間何となくひっそりと行われていたイメージだった会議が、いつのま
にか17時に地上波(TBS)の生中継とな!!
日本シリーズの大事なT,2戦も地上波でやらないクセにっ!
マスコミが作り上げた話題性が、クライマックスシリーズで見せた本物の感動的
な試合よりも優先されたような気がして、なんだか腑に落ちない心持ちもしたが
、ネタのためと言い訳をしつつ、久しぶりにその現場を目撃することにした。
そのほか、外れ1位がまた重複して再びクジ引きを繰り返し、何度もくじを引く監
督の悲喜こもごもの顔を見ることになった(それにしてもハズレ1位って失礼な言
葉!)
早大、大石投手に6球団、斎藤投手に4球団の重複があり、恒例のクジ引きとなっ
た。
そして、それぞれ西武、日本ハムとパリーグが引き当てた。

一昔前だったら「絶対にセリーグに行きたい」なんて子どもっぽい事を言う選手
はいない。
入団後のファンや選手間の雰囲気まで考えているかいないかは別として、インタ
ビューを受けたほとんどの選手たちが、両親に感謝し、指名してくれた球団に感
謝し、夢いっぱいの顔をほころばせていた。
その夜7時から2時間のドラフト特番があり、「母と子の絆」「亡き父との約束」
「支えた家族愛」なるドラマを本人たちのインタビューと共に流し、御丁寧に最
後の締めに親にあてて手紙を読ませるという、陳腐な企画を全うした。
それを最後まで「なんか、違うよなぁ・・・」と思いながら、不覚にも時々涙し
ながら観た。
で、結局、目玉の斎藤佑樹君を含むドラフト1位指名が3人もいた、早大からの中
継はなく、早慶戦がまだ残っているからという理由で3人のコメントも文章で読み
上げるという異例の事態。
散々宣伝していたのに、目玉が登場しないにも関わらず、番組は何事もなかった
ように斎藤君の話題をスルーして終了した。
亡き大沢さんがいたら「アッパレ!」を斎藤君と早大関係者にあげたに違いない

ああいうドラマもいいもんだ。
3人のドライチを抱えながら、斎藤君に一番のスポットが浴びせられるであろう事
態を予想して、それを避けたのか、それは本人か学校側か、それはわからないが
、彼らがスポットを浴びるのは今じゃないということを、身をもって示してくれ
たような気がした。
出てこないということに、これほど清々しさを感じたことはなかった。
10月28日という運命の日。
踊らされた人も、そうじゃなかった人も、それぞれの喜びや悲しみを胸に秘めて
、夢をかなえて欲しい。
夢を一緒に見ている人が大勢いることも忘れずに・・・。

 追記 11月3日、六大学野球の秋の最終戦となる早慶戦での優勝決定戦。神宮球
場は立ち見も出る3万600人の超満員。
  斎藤佑樹君は先発で7回3分の1までノーヒットノーラン、その後5点取られてド
ラフトで6球団競合した大石投手にスイッチ、結果10対5で早稲田が歓喜の優勝を
達成。斎藤君の優勝インタビューは「斎藤は何か持っていると言われ続けていま
したが、今日それが何かはっきりわかりました。それは「仲間」です」かっこよ
すぎて、むしろ前途を心配してしまう親心かな・・・。