朝の楽しみ

ゲゲゲの女房」「てっぱん」に続いて、NHKの連続テレビ小説「おひさま」を毎朝楽しみに見ている。
「今回のドラマの出来はどうだろう?」と、1週間くらいみて、面白くないとそのままやめてしまうパターンが多かった昨今。
正直、2000年以前には「おはなはん」「雲のじゅうたん」「マー姉ちゃん」など、名作が目白押し、この中から当時新人としてデビューして大きく羽ばたいた女優も数多かったが、2000年以降は、私の琴線に触れるようなドラマがめっきり減り、たぶん私だけではなかったのだろう、視聴率も以前のような高い数字は見られなくなった。
そんな中、2001年の「ちゅらさん」は最後まで楽しく熱心に見て、後に続編も作られるほどヒットした稀な作品だった。
沖縄と東京を舞台にヒロイン・古波蔵(のちに結婚して上村)恵里(国仲涼子)の人間的な成長物語を中心に、上村文也(小橋賢児)との恋の行方、両親や兄弟、祖母など主人公を見守る家族との強い絆、個性的な一風館(東京の下宿先)の住人達や、看護師として働く職場の人々の人間模様を描いた群像劇で、特に美しい沖縄の風景と人々のユーモアに溢れた温かい人間性が印象的だった。
その脚本を書いた岡田惠和(よしかず)が、今回の「おひさま」を久しぶりに書き下ろした。
舞台は信州安曇野、病気で早世した母から「太陽の陽子」と名付けられた主人公、須藤陽子の、激動の昭和を明るく生き抜いた半生を、周囲の人たちとの関わりを通して丁寧に描く。
主役の陽子を演じるのは、5才の頃から子役として活躍している人気女優、井上真央。
オーディションで選ばれることの多い、女優への登竜門でもある、朝ドラに、人気女優が起用されることは、珍しい。
このドラマが始まるまで、彼女についてはあまり予備知識がなく、若者の間では人気があるらしい、といった程度で、正直あまり期待感はなかった。
でも、名前通り太陽のような笑顔に、毎朝やられっぱなしだ。
彼女の輝くような笑顔は、脚本家、岡田氏が「陽子役は是非、井上真央さんに!」と熱望し、実現した、まさに100万ドルの価値がある。
病弱の母が子どもたちの行く末を案じながらも、精いっぱい言いたいことを伝え、別れを告げる「母のナミダ」、女学校で親友となった育子と真知子との楽しい日々「乙女の祈り」、3週目に入り、陽子の初恋と育子の初恋、それを見守る家族を描いた「初恋」。
まだ、始まったばかりとはいえ、毎朝、陽子の表情に魅せられ、一緒に泣いたり笑ったりしている。
そして、清々しい気持ちになる。
自分の好きなタイプの人間を丁寧に描こうとしている作者の気持ちが、一つの台詞にも、なにげない場面にも、滲み出ている。
どうしても通り過ぎなくてはならない戦争の足音も、徐々に近づいてきている不安もあるが、陽子だったら、きっと今までとは違う展開を届けてくれそうな気がする。
こんな時代だからこそ、必要なのは、思わず微笑んでしまうような飛びきりの素敵な笑顔。
おばさんでさえ、愉しい気持ちにさせてくれる彼女の笑顔が、世の疲れたおじさんたちを癒さないわけはない。
おじさんたちは、この半年、至福の時間を過ごすだろう。
少し早起きしてでも・・・。
NHKもやるじゃない!