三原に吹く風
さつき祭り
3年ぶりにさつき祭りにいってみた。
建て直し工事中の文化会館を避けて、グラウンド・公園・それらに面した道路と3箇所でいろんなイベントが行われていた。
まずはグラウンドに・・・。
ここには、三原市や近郊の町からの名産品や手作り品の特設売り場がたくさんあり、まだ早い時間にもかかわらず賑わっている。
歩き始めてすぐに大和町のコーナーに吸い寄せられる。
大根の中に魚の酢漬けが巻いてある漬物を試食して、思わず購入。
ここの柏餅が美味しいことは知っていたので、売り切れたら後悔するとばかりに1パック5個入り500円で購入。
隣の久井町のおじさんに「えー あっちで買ったん? こっちのほうが100円安かったのに!」と言われた。
春らしい鉢植えや切花もたくさんあり、どれもかなり安い。
ピンクと白の沢山花をつけた百合を購入すると、黄色い菊もおまけにつけれくれた。
続いて、高架下の道路に並んでいる食道楽広場に移動する。
おなじみのお好み焼き・リング焼き・ポテト・やきそば・焼き鳥、たくさんの店が賑やかに軒を並べている。
ゆったりとした時が、五月晴れの空にぽっかり浮かぶ雲のように流れている。
祭りにつきもののなんとなく殺伐とした雰囲気が感じられない。
活気はあるけど、気心が知れている身内のようだ。
食道楽広場のお店が町内会だったり、地元のサークルの集まりだったり、企業の有志の集まりだったりするからなんだろう。
テキヤさんがいない、手作りの市民のための市民によるお祭りだ。
「あぁ、さつき祭りって、こうだっけ!」
3年ぶりに来てみて改めてそう思う。
さつき祭りも歴史を重ねて今年で16年目を迎える。
だんだん祭りの規模も大きくなり、ここの場所も前は文化会館を中心として、市民プールとグラウンドで雑多に行われていた印象だったが、今年はそれぞれのブースが独立しながらもほどよく調和している。
老人会の店先では今にも居眠りをしそうなおばあさんが座っていて、その前に「お墓参りセット 1700円」と書いてある紙が貼ってあった。
何が入っているかわからないけど、地味なぷっくりとした袋がおいてある。
きっとお線香入れとか蝋燭とか、ライターとか、そういうものがこじんまりと入れてあるんだろうけど、1700円という、なんとも微妙な値段が「何が入ってるんだろう?」と想像力をかきたてられる。
「焼きトウモロコシの200円は安いね!」
「あのあげたてコロッケも美味しそう!」
「ソフトクリームの250円は普通すぎるけど、美味しそうだなぁ」
とキョロキョロしながら、話しながら、楽しくその道を直進していく。
公園の中はくつろいでいる人たちの笑顔でいっぱいだった。
なんだかこういう中にいると通り過ぎるだけでも心地よくなる。
たとえ瞬間的でも、人為的でも、いや人為的だからこそ和むのかもしれない。
中庭を抜けてグランドの横のブースはチビッコ広場で、それこそたくさんの親子づれが楽しそうに遊んでいた。
再びグランドに戻り、11時からの自由詩人のライブを特設会場で見る。
「時代おくれ」「おやじの唄」「セロリ」「糸」「涙そうそう」・・・etc.
オリジナル曲以外は知っている歌ばかり。
みたか連による創作やっさ踊りはいつ見ても楽しめる。
その年々で工夫が凝らしてあり、共通しているのは踊り手の笑顔だ。
今年は日本舞踊のような静かな動きが随所に見られ、盆踊り的なやっさから、ショー的なやっさ、そして徐々に芸術的なやっさに変化しているように感じた。
いろんな面で満足感を得て、会場を後にした。
この祭りに関わったひとりひとりに「ご苦労様、ありがとう」という言葉をかけたくなるような優しい気持ちになれたのは、そこにいたわずか2時間ちょっとの時間が、本当に楽しいかったという実感があったからだと思う。
そして、来年はもっと長い時間をとって、この三原市民の手作りのお祭りを楽しみたいと思う。