そして、再び沖縄へ。

今年1月、初めて沖縄を訪れて、こんなに早く2度目が来るなんて思いもよらなかった。
甥が沖縄に念願だった居酒屋を開店し、そのお祝いを兼ねて訪れることになった。
実は、そのついでに屋久島に・・・と思っていたのだけど、沖縄から屋久島への直行便はなく、鹿児島⇔屋久島、鹿児島⇔沖縄の贅沢な旅になった。
2度目の沖縄には、夜到着、すぐに甥の店に顔を出し、屋久島の有名な焼酎「三岳」を土産に元気な顔と清潔で楽しい雰囲気のお店を見ることが出来て、安心した。

そして、二日目。
レンタカーを借り、ひめゆりの塔を再び訪れ、季節外れの蝶々が舞う斎場御嶽(せいふぁうたぎ)から再び久高島を望み、安座真(あざま)港よりフェリーでその久高島へ渡った。
そこでは、事前にガイドさんを頼んでおいたのだが、着いた港には、一緒に降りた少人数の観光客らしき人のほか誰も見当たらず、上まで歩いて、切符売り場でしばらく待つことに。
結局電話連絡をしたら、「忘れてましたー、すぐ向かいます」との返事をもらい。
苦笑いで、待つこと10分、ワゴン車からちょっと強面のおじさんがやってきて、「どうぞ、3時間のガイドをします」と、何事もなかったような対応。
たぶん、こういう雰囲気が島時間なのね、失われた30分なんて、思わないし、むしろ肩から力が抜けたような気になるから不思議だ。
ガイドさんの家は、今夜泊る民宿の隣、小さな雑貨やさん(名前はスーパー○○○)、そこで、勧めてもらって、飲み物を調達して、島を案内してもらった。
最初に聞いたことは、久高島の人口200人に対して猫はその3倍いるということ。
この島は、琉球の創世神アマミキヨが、天からこの島に降りてきて国づくりを始めたという、伝説の島で、五穀の発祥の地とも言われている。
島内には、御嶽(うたぎ)、拝み所(うがんしょ)、殿(とぅん)、井(かー)などの聖地があり、中にはなん人も入れないようになっている。
男の人の祭りの多い日本の中で、ここは神女組織「祝女(のろ)制度を継承し、12年に一度行われる秘祭「イザイホー」はNHKで放映され、有名になった。
女性を守護神とする母性原理の精神文化を伝えているという、民俗学的にも重要な島であるらしい。
今は後継者不足で、イザイホーに関しては1978年から後は行われていない。
しかし、神事は一年を通して200日以上行われ、本当に神様と寄り添って生きる島なのだと実感する。
そのいくつかの神事をガイドさんから教えてもらう。
周囲わずか8キロの島で、自転車で観光する人も多い。
昭和30年代は、年間2万人だった観光客も今は8万人だそうだ。
というか、その頃から実は訪れていた人がいたということのほうが驚きだった。
周囲を海に囲まれた、不思議な何もない島なのだ。
ガイドさんのはからいで、イラブー(黒い海蛇)の燻製を作っている場所で、その小屋の中を見せてもらう。
とぐろを巻いたイラブーやまっすぐに黒い剣のようになったイラブーが百匹以上もそこには並べられていた。
「裏に生きてるのがあるよー」とそこでイラブーの燻製を作っているおじさんが、欠けた歯を出して笑いながら見せてくれる。
こわごわ触ると、意外にその皮は堅くてひんやりしていて、想像していた蛇の質感はなく、調子に乗って、両手でつかんでみた。
「毒がないから大丈夫だよねー」と呑気そうに言うと、「イラブーはハブの何倍も毒があるんだよー」と平然と答える。
あらためて顔が引きつり、とっとと小屋に投げ入れた。
その高価な燻製のイラブー汁を夜は食す。
味も食感も、ニシンの燻製のようで、見た目よりは食べやすい。
でも、もう二度と食べないだろうなぁ、と思う。
お世話になった民宿は素泊まりで、三千円。
本当に、勝手にさせてくれるところで、何の遠慮も気兼ねもないかわりに愛想もない。
しかし、来るものは拒まず、沢山の神様仏様マリア様、ホ・オポノポノの青い瓶と、あらゆる宗教の大事な象徴が飾られていたので、不思議に思って聞いてみると、訪れた客が置いていくそうで、そのまま飾ってあるとのこと。
その寛容さに、驚き、その純朴さに感動すら覚えた。
夜は満天の星を眺め、この不思議な島にいる不思議さをしみじみ思った。
パワースポットとか、不思議体験とか、そういうものを求めてきたら、もしかしたらがっかりするかもしれないが、何だか私はとってもこの島が好きになった。
何もなくても何も感じなくても、ここから何かが始まったことが信じられる気がする、そんな島だった。