中国・北京旅行−2(嗚呼!世界遺産!!)


戦場のような朝食バイキングを終えてエレベーターを待っていると、火薬の臭いと、廊下には散らかった花吹雪。
聞けば、朝の6時から結婚式が行われたと言う。
中国ではお金持ちは都合のいい時間に、そうでない人たちは朝早く挙式をするそうだ。
後片付けもなく、観光客は頭の上にハテナマークを乗っけたままその上を通り過ぎる。
7時ロビーに集合、お待ちかねの北京観光の始まりだ。
母と私は、乗降が楽だからと、前の席に陣取り、大都会北京の風景を特等席で見られた。
ありふれた表現だけど、PCゲームの中に迷い込んだ気がした(マトリックスの世界)。
初めて都庁を見たあの時と似ている。
私の知っていた東京が、まるで別の生き物に思えた瞬間だった。
北京は初めてなので想像の中だけだったが、眼前の風景はその想像をはるかに超えていた。
ほとんどが新しく見えるビルは広く高く、道路は片側3車線の一般道に、自転車はおろか軽自動車もなく、普通自動車、しかもちょっと高級車のオンパレードがわれ先にとばかり、危ない車線変更をしながら走る。
(えー 自転車で、人民服で、のんびりしてるんじゃなかったっけー)(私の心)
「凄い都会ですねー」(実際の言葉)
「北京オリンピックを境に中国は急速に発展しました。そのかわり物価も高騰しました」(揚さん(ガイド)の言葉)
いかに北京が発展したかの話は、短編小説が書けるくらいで、4日間の揚さんの説明の半分以上の割合で話題に上った。
(すごい!すごい! 北京すごすぎ!!)
西太后が愛した場所、最初の世界遺産、「頤和園(いわえん)」に到着。
広大な庭園公園の頤和園は、中国の皇帝が隆盛を誇った頃の象徴の一つでもある。
人工的に作られた湖、それを作るために掘り出された土で作った山。
京劇の演目の絵で飾られた長い廊下、沢山の建物(部屋の中はほとんど見学できない)
豪華絢爛の自慢話よりも、贅沢三昧の悪口を説明する揚さんの話しぶりから、王朝に抑圧されてきたこの国の歴史を思う。(尊敬のカケラも感じない)

続いて訪れた二番目の世界遺産「明の十三陵」もしかりだった。
長い階段をひたすら降りて、コンクリートの打ちっぱなしの殺風景な場所に中国のお札が無造作に投げられている。
(ここがお墓?)
この賽銭は、生まれ変わってもこんな人にならないようにとの願いを込めて投げられるという話に衝撃を受ける。
暗い何も見るべきものがあるとは思えない世界遺産を、今度は必死に登って後にする。(私がツアコンだったらここは絶対にパスだ!)
昼食はジャージャー麺とほぼ前日の夜と同じような中華料理、お茶はサービスだが、その他の飲み物はキャッシュで注文する。
揚さんが希望に応じてその日のレートで両替をしてくれる。
事前に予約した夜のオプション、雑技団と京劇の観劇券もその日のレート計算で、ツアー申込時に払っていた私たちにはキャッシュバックをしてくれるという親切ぶり。
伸びたうどんを平べったくしたようなジャージャー麺は期待外れだったものの、他の中華料理は美味しく、ツアー仲間との談笑も円卓を囲むたびに楽しく、親しみが増す。
昼食後は、市内を抜け、いよいよこの旅行のメインである三番目の世界遺産「万里の長城」へ向かう。
その道中にとんでもないことが起こった。
相変わらずマナーのない運転をひやひやしながら見ていたら、左後ろから急に割り込んできた黒い乗用車にバスが気づかず接触、乗用車の右後ろとバスの左側のライトが大破してしまった。
道路の真ん中で立ち往生して、乗用車の運転手・バスの運転手・揚さんと協議すること20分、どうやら示談が成立。(そんな光景がちょこちょこ見られる北京交通事情)
乗用車の人が2千元を払って解決したのだが、揚さん曰く、「実際は2千元では直りませんが、警察を呼ぶと時間がかかるし、皆さんに迷惑がかかるので、示談にしました。むこうが悪いので、今回は大丈夫ですが、もしバスの運転手のミスであれば、彼は即刻クビになります」と・・・。
とにかく、誰にも怪我がなく、少しのロスタイムで再び出発。(以後、負傷したバスは見学場所で降りるたびに、その広い駐車場内での目印となり、むしろ笑い話になったので結果オーライだったのだろう)
万里の長城は城壁の遺跡で、その全長は8,851.8km、「長城に到らずば好漢にあらず」と毛沢東語録にもあるように、中国一番の人気観光スポットで、この巨大な城壁は世界の七不思議の一つに数えられている。
北京以東・北京周辺・北京以西と別れていて、私たちは、もっとも有名な見学地の「八達嶺(はったつれい)長城を登る。
その中でも男坂・女坂と左右に分かれていたので、私たちは母の手を引いて比較的緩やかな女坂へ。
元警察官の揚さんのコネのおかげで(揚さん曰く中国はコネ社会です!)入り口に一番近い場所でバスを降り、集合場所だけ確認して、自分たちのペースで登る。
強い風の中、雄大な景色を望みながら8割の中国人、2割の多民族観光客に交じって、米寿の母の手を引いて登る姿は、周囲には珍しく写るらしく、沢山の人に声をかけられ、年齢を尋ねられ、驚かれ、時には拝む人までいた。(中国人って結構人懐っこいじゃない!)
驚くべきは母の執念の歩きで、さすがに長年の夢、明日はどうなろうと今を必死に生きているその姿に感動した。(文字オーバーにつき次回に続く)