ある機会。

三原青年会議所(JCU)の創立50周年記念事業講演会の講師として招かれた、田原総一朗氏は、御年77歳1934年生まれの日本で最も有名と言えるジャーナリストである。
3月18日彼岸に入った麗らかな日曜日、ポポロに三原の人たちが次から次へと吸い込まれるように入って行く。
「先の見えない時代を読む」と題して約1時間、田原氏のパワフルな話が展開された。
高度成長期からバブルの時代へ、日本経済が、その勤勉さと物真似の上手さで世界の頂点を極めた頃の話から、歳出が歳入の倍になった借金地獄に喘ぐまさに正念場の時代へと突入している今の日本の状況を淡々と、時には力強く語る。
多くの有識者が語っているように田原氏もまた日本の生きる道としての3つの提言をした。
入る金を増やす→増税(当年10%から最大20%まで)
出る金を減らす→福祉・医療費の削減
企業努力をする。


当たり前と言えば、当たり前のことながら、田原氏の話にはやはり説得力がある。
いい時代に貯金をせずに、ばら撒きを行ったしわ寄せがこの経済破綻を招いているのは、言うまでもないが、いまさらながら国家にも貯金が必要であったのだと思い知らされる。
バブルの時代は世界の中で日本の一人勝ちだったのかもしれないが、それに奢り、他の国が自国努力をしている間に、ウサギのように、キリギリスのように油断して追い越されてしまった。
韓国や中国があの頃の日本の高度成長期に今現在突入している。
今国を動かしている人たちが日本と同じであれば、同じように彼らも衰退するのだろう。
ここまでの話だと、本当に先の見えない絶望的な今の日本ということになる。おまけに震災のダメージと、原発の問題と、課題は山積みだ。
でも、田原氏の見通しは意外にも明るいものだった。
日本人の勤勉さと世界に誇れる技術力の高さは、底から這いあがれる可能性を秘めている、と力強く復活宣言をしてくれた。
例として出されたのが、氏が注目している京都の企業(東レ・島津製作所・任天堂など)
で、企業として常に新しいものにチャレンジしながら、社員を長期的に教育し、企業間ではお互いに邪魔をしない、真似をしない、オリジナリティを大事にしながら共生するというその姿は、今後の日本の行く道を示唆している。
「人材は育ててやがて人財になる」
いい言葉だなぁ、と思った。
1時間ほどの熱弁のあと、いよいよ三原市民との質疑応答にはいる。
赤字国債についての解決策は?・エネルギー技術の日本のレベルは?・次回の総選挙で大阪維新の会の議席はどうなる?・小沢一郎氏の考えは?・TPPについて知りたい・消費税はどこまで上げる必要があるか? など、多くの質問があり、それに即座に明確に答えられる田原氏に心の底から尊敬の念を抱いた。
日本は四方八方を海に囲まれ、国土の60%以上が森林と言う自然豊かな国で、粘り強く、情に厚く、そしてそして・・・・。
テレビでは誰に対しても臆することなく厳しい提言をし、歯に衣着せぬ鋭い論客の田原氏が、こうして優しい眼差しで日本を励ましているように思えた。
逆に、そこまで危ないのだろうか、この国は・・・という不安が少し過りもした。
田原氏は、精力的に講演会の講師となり、若い人材を人財にするべく育成活動も行っている。
その一つの形として、BSジャパンの「田原総一朗の仰天歴史塾」という番組がある。
私が偶然見たその日は、奇しくも講演会が行われた夜「テロの時代」5・15事件と2・26事件の真相とは? というテーマで8人の塾生(大学生)とガレッジセールのゴリさんが、田原氏の講義を受けながら、質問や意見を交わすという濃い内容だった。
政治の世界でも「○○塾」とか「○○会」という独自の勉強会があり、混迷の日本に危機感を持っている人が多い。
「消費税を上げるな」「年金を早く支払え」そういう個人レベルの「して欲しい話」だけではなく、今まさに、日本人一人一人が何ができるか、何をすべきかを真剣に考える時だろう。
そんなことを考える機会は確実に増えているような気がする。