焼物紀行(春の旅行)

2春の家族旅行のテーマは「焼物」
以前から器は好きだったが、こだわりと言える程の趣味もなく、それでも頂き物や目について求めたお気に入りの器で、いつの間にか巨大な食器棚は満杯状態だ。
朝早起きして、まずはお目当ての長崎県波佐見町へ。
山陽・中国・九州と高速道路を乗り継ぎ、5時間かけて桜の花を愛でながら快適ドライブ。
ゴールデンウィークの1週間行われる波佐見焼祭りに先がけて、4月7,8日の二日間にわたって行われる桜陶祭は、陶器と桜が両方楽しめる、町をあげての贅沢なイベントだ。
波佐見町は、狭い坂の町で、世界1位と2位の登り窯を含む17か所の窯元がコンパクトに集まっている。
さらに言えば、駐車場からメイン会場となる中尾山までのシャトルバス(無料)から望む風景も素晴らしく、全国棚田100選の鬼木棚田も見ることができる。
予約しておけば窯元特製の陶器に入ったお弁当も買える。
当日売りもあり、窯元を訪ねながらそれを見るのも楽しみの一つになっているようだ。
橋の欄干には陶器のディスプレイ、小さな陶器の町はこの二日間、大勢の観光客や焼物ファンで活気づく。
私たちは特設テントで地元の手料理を買って、無料休憩所で食べることにした。
炊き込みご飯のおにぎりや、蓬の餡子餅にみたらし団子を、無料のお茶でゆっくと味わった。
波佐見焼は、青磁から始まり、シンプルな草花を描いた急須を大衆向けに作るようになり、そのため白地が多くなり、有田焼にメームバリューでは負けているが、生産量ではかつては日本一とも言われていた。
私も波佐見焼という名前は知らなかったのだけど、骨董好きな友だちの持っていたコンプラ瓶(お醤油を輸入するのに入れていた瓶)は知っていた。

本当に生活感のある百均で売っているような器もあるが、白磁のモダンなデザインの高級感漂う器もある。
そういうものが雑多に並んでいる風景もまた味がある。
世界に沢山の人種がいるように、服にいろいろな好みがあるように、財布の中身と相談しながら、普段の夕餉のため、とっておきの晩餐のため、器に先にある風景を想像しながら窯元をいくつも周り陶器を見るのは楽しい。
前もって調べておいた白磁の器の窯元で、2割引きの半額という破格の値段で、ボウル3個、大皿1枚、中皿3枚を6500円で買った。
普段は静かな町だと想像できる町並みだが、買い物客の受け入れ態勢は万全で、狭い通りに、相乗り無料中型タクシーを走らせ、お年寄りにも優しい。
時々耳に飛び込んでくる九州弁も、のんびりしていて優しくて心地よい。
それから有名な有田・伊万里を通り唐津市に到着する。
今夜の宿は烏賊で有名な唐津の呼子。
二日目の朝は、早めに宿を出発して朝市で思い切り烏賊もの(烏賊しゅうまい・干し烏賊・烏賊の塩辛・烏賊煎餅)を買う。
馬に乗ったり、鏡山で花見をしたり盛りだくさんに満喫した。
せっかく、唐津に来たんだからと、唐津焼の陶芸館に立ち寄った。
さすがに唐津焼は高級品が多く、目の保養だけで手が出そうもない。
玄米ご飯が似合うご飯茶わんが見たかったので、一つだけ窯元に寄ることにした。
偶然選んだ窯元は、ひっそりした山の中にポツンと一軒、頑固に手作りで登り窯に拘っていた。
雑然としたギャラリーには、何を乗せても美味しそうに見える皿や、飾るだけでも品のある花瓶や、温もりのある器がごろごろしていた。
ちょうど窯から出したばかりだと言うご飯茶わんが比較的安かったので、思い切って二つ購入。
帰って次の朝、まじまじ見ると、口に当たる個所が少し欠けていた。
どちらが悪いともわからず、とりあえず電話をしてみると、梱包が悪かったのでしょうと、快く変わりのものを送ってくれた。
しかも、もうひとつ大ぶりのお茶碗が一緒に入っていた。
割れものを扱うところではよくある事なのかもしれないが、その優しさに感激。
早速、三原の名産品を、お礼の気持ちを添えて送った。
こうして、旅行の旅に増える有体・無体の宝物がまた一つ加わった。