三原に吹く風

 

あこがれ・・・

 

 

深田久弥著書「日本百名山」の「槍ヶ岳」にはあまりにも有名な一文がある。

 

「実際そのユニークな岩の穂は見紛うことがない。それは悲しいまでにひとり天をさしている」

 

日本人の山といえば、「富士山」なのだが、憬れの山はと登山をする人に聞くとたいていの人が「槍ヶ岳」の名を口にする。

北アルプスのどこから見てもその象徴的な尖った槍先を見ることが出来る槍ヶ岳は東西南北に広がる四つの尾根と、その間に四つの渓谷を持っている。

 

シナノキンバイ・ハクサンイチゲ・クルマユリなどの花が咲き乱れる高山植物の宝庫を実感しながら気持ちよく登るルートもあれば、近代日本登山の歴史に数々のドラマを生んだ難ルートもある。

山頂に立つと、360度遮るものは何もなく、東に常念岳、西に笠が岳、南に穂高連峰、北には後立山連峰、東南の遠くには富士山も見えることがある。


槍ヶ岳は私たち夫婦にとってもあこがれの山だ。

まだ、アルプスは「白馬連峰」しか登ったことがない。

百名山でさえ、まだ四山ほど登頂したのみだが、去年の富士山に続き、体力のあるうちにと、このあこがれの山である「槍ヶ岳」に挑戦してみることになった。

 

あこがれは同時に未知の領域であるから、不安もつきまとう。

しかも、一生のうちに一度しか行けないかもしれないと、何故か思っている相方の計画は、

 

東鎌尾根(表銀座ルート)

中房温泉 ― 燕岳 ― 大天井岳 ― 東鎌尾根 ― 槍ヶ岳

 

槍沢ルート (降り)

槍ヶ岳ー槍沢ロッジー横尾ー徳沢ー明神池ー上高地

 

という、ちょっと贅沢なかなりハードなものだ。

 

でも、私は何故だかゆっくりと楽しく、その登山が出来るような気がしてならない。

私の場合はいつも究極のプラス思考と言われるので、最初から失敗なんぞ思わない。

 

「失恋が怖くて恋愛なんかできるかい!!」

 

そんな勢いなわけで、日々の鍛錬も今は体の荷物を軽くすべく、マクロダイエットのみで、あとは15日過ぎてから無理のない程度に体力をピークに持っていこうと思っている。

 

あろうことか、相方は今月初め帯状疱疹になってしまった。

1週間くらいで、なんとか快復し今はまた登山計画に余念がない。

しかし、このハンデがどうでるか、それが目下の一番の不安だ。

(自分のことは全然気にしてない。去年は私が足を引っ張ったことも忘れている)

 

あこがれが現実になるとき、達成感や、充実感、そして、心身ともに疲労感、倦怠感等など、いろいろな感情が一気に押し寄せる。

その圧倒的な感情の波がたまらない。

 

日常生活では決して味わえない、特別なものだ。

 

「それを味わうために山の登るんさ」