やっさ号に乗って・・・

 

 

小さい頃はバスがとっても苦手だった。

何故かいい思い出がない。

それは、ただ単にバスに酔っていたからだ。

車掌さんのカチカチ鳴らすはさみとか、正面から見た滑稽な形とか、温かいベッチンの椅子とか、そういうシーンも思い出すのだけど、やっぱり、酔って辛くて、一刻も早く目的地に着きたいと願ったことのほうが印象に残っている。

あと、必ず持たされた「ゲロ袋」。

中身が見えないように、茶色い紙袋を中に入れたビニール袋をいつも遠足の時は持たされていた。

使っても、使わなくてもこの袋がないと心配だった。

一度バス酔いする子だけ集めて学校が、遠足の前に催眠術をかけてくれたことがあった。

それでも、酔う子は袋を片手に青い顔をして、バスの窓の外を恨めしそうに見ていた気がする。

もちろん私も・・・。

 

単に大人になったからなのか、バス自体乗り心地がよくなったからなのか、私はいつのまにかバスに酔わなくなり、交通手段の一手段として恐怖感なく乗れるようになった。

 

三原⇔新宿(東京)を夜間走りぬく、エトワールセト号もまだ今より若くて元気な頃は何度も利用した。

寝る時間を移動に当てられることと、低運賃の二つの利点がバス酔いの心配のなくなった私の強い味方だった。

あ、それでも最初に乗ったときは府中へ向かう山道でフリードリングを作りにうろちょろしていたら、酔ったことがあって、それからは福山から乗るようにしたんだっけ(笑)

 

そして、電車や車と同じように生活の中に特別な形でなく入り込んできたのが、「やっさ号」という三原⇔広島を高速を使って走るバスだ。

これは、なかなか優れもので、度々利用している。

 

やっさ号は、2006年10月17日 広島高速道路1号線が山陽自動車道と直結したことに伴い、所要時間を短縮。同時に全便広島東ICに停車するようになり、さらに広島高速道路と直結することにより、ますます早く着くようになった。

料金も、三原からだと片道1400円、往復で買うと2550円、さらに4枚つづりの回数券を5000円で買うと、片道1250円とかなりお得だ。

まず家から広島に行こうと思うと、バスに乗り、山陽線に乗っても1400円以上かかる。

それから八丁堀に行こうと思うとさらにかかる。

料金的にも安いし、今は運動公園入口の「見初橋」にはやっさ号専用の駐車場があり、利用者は気兼ねなく無料で駐車できる。

そして、そのバスはいつも空いていて、快適だ。

ただ、本数が少ない。

平日は4本で、土日祝に6本運行。

とくに帰りは平日の最終が18時半という早さなので、この点が不満だ。

もし、利用者が増えればもう少し便数が増えてさらに便利になるのだと思う。

今のところ、自分の計画に合わせてバスの時間を選ぶのではなく、バスの時間に合わせて計画を立てなければならない。

 

でも、あの空いているバスにのんびり乗って都会に向かう、なんとも言えない贅沢感は捨てがたい。

今は1時間20分くらいで八丁堀に着いてしまう。

新幹線より早いのだ。

 

もう酔わなくなった私は、快適なバスの中で、音楽を聴きながら本を読んだり居眠りをする。

時にはのんびりと変わりゆく風景を細切れに見る。

高いバスの中から見る風景は、車ではわからない視点で、いろんな気づきを与えてくれる。

 

高速道路上では、季節の花がわりと咲いている。

夏は夾竹桃が赤・白きれいに咲き誇っていた。

だんだんと色づく山々や秋の不思議な雲たちを、少しだけ空に近づいて見てみよう。