子供がえり
何十年ぶりかにぬいぐるみみたいなものを買った。
なんで、みたいなのかと言うと、正確にはぬいぐるみではなく「抱き枕」だから。

友だちの家でこれを見つけ、一緒に見た知り合いが即購入し、それを見た別の友達がまた購入。
つまりは、私の周りでにわかに流行っている「抱き枕」なのだ。
お父さん枕、お母さん枕、子供が二人、全員揃えると四人家族になる。
私は、お父さんと小さい子供を買った。
正確に言うと買ってもらった。
この種のものは、自分で買うより、断然買ってもらうほうが心地よい。
だから、実際には自分の財布から出ていたとしても、これはお給料から出しているからと言い聞かせ(そして、一緒に見に行って許可を得ているから)買ってもらったことにした。
ものすごくかわいいわけでも、特別特徴があるわけでもないのに、何故か惹かれる。
白熊なので、真っ白で、目をつぶっている表情を簡単な刺繍で表現している。
固すぎず、柔らか過ぎず、触っているとなんだか優しく包まれているような安心感が漂う。
欲を言えば、肉球のところのすべすべ感がもっとリアルだったらいいのに、と思う。(簡単にビニールアプリケなので)
お父さん熊は裸なので、Tシャツを着せている。(どの家もいろいろ着せているようだ)
子供は白い腹巻をしている。(実はこれは枕なのでカバーらしい)
まさかこの年になって、寝る時にぬいぐるみを抱っこして寝るとは想像もしなかった。
特に何かに癒されたいとか、人恋しいとか、そんなことはさらさら思っていないのに、何故だか毎晩隣に置いてしまう。
秋になって、ちょっと涼しくなっているから余計抱っこしていると気持がいい。
聞いている人は、なんだかそれを想像すると気持悪いかもしれないけど・・・。
私は昔から、なんとなくみんなが持っているものはあまり欲しがらなかった。
出来れば、持っていないようなものをあえて探すタイプの人間だ。
そして流行りものには乗せられない、乗りたくないと思ってきた。
以前の私だったら、売り場に牛肉の冷凍貯蔵庫のように並べられた彼らを見たら、ギョッとして引いてしまって、決して買わなかったと思う。
こんなにたくさんあるのに、そして自分の周りでも何人かが同じように抱っこしているであろうこの子たちを嬉しそうに買ってしまう私に私自身が驚いたりしている。
あぁ、それでもこの子たちを見る家族の目線が確かに優しく、毎晩抱っこして寝ている私に対して、なんのクレームのない。
子供に帰るという事は、なにかほっとする気持になれる。
私がほっとしていると、それを見て周りもほっとするのだろう。
そんな気がする。