三原に吹く風
ギターが家にやってきた
去年の11月頃、いつもお世話になっているレコード屋さん(CDとDVDとビデオしか売っていないけど、やっぱりレコード屋さん!)のご店主からいただいた1枚の葉書。
「絶対に月末に投函するんよ!」
と投函時期まで親切なアドバイスをいただいた。
全て記入したのちコルクボードに貼っておいた。
そして、締め切り日に程近い29日に家の近くの郵便局のいつものポストに無造作に投函した。
実は私は籤運が悪い。
宝くじもろくに当たった事がないし、商店街なんかでセールの時にガラガラ回すあの箱型籤もスカばかり。
だから当然何の期待もしていなかった。
そんなこともすっかり忘れていた2月の初め、外出から戻ると玄関に見慣れないサイズの箱が立てかけてある。
「ん? これなに?」
「ギター買ったん?」
「ゑ?」
突然の目の前の不思議な箱に脳みそがなかなか反応しない。
「買ってないよー。なんなん?」
頭の中は?マークのまま箱をまじまじ見る。
YAMAHA ACOUSTIC GUITAR

「あー もしかしたら、当たったんだ!!」
鳩が豆鉄砲状態の家族に、ご機嫌な笑顔を振り撒き(出来ればその場で一緒にフォークダンスを踊りたい気分だったけど・・・)部屋に大事に抱えて持っていく。
箱をいろんな角度から見たり、重さを確かめたり、ちょっと振ってみたり、怪しい行動が続く。
それでも何故か一人で開ける気にはならず、連れの帰りを待つことにする。
「何で待っとったん?」そう言われたが、めったにないこんな幸運の扉を開ける瞬間を一人で迎えるのはあまりにももったいないと思ったのだ。
そして、若干大げさに騒ぎながら箱を開けてもらう。
「あなたにこの大役をさせてあげる・・・」と恩を着せながら。
黒のソフトカバーに入っている「YAMAHA ACOUSTIC GUITAR」が当然鎮座まします。
「おーーーー!」と判っているくせに感嘆の声をあげる。
ソフトカバーからそっと出して抱えてみる。
案外軽い。
いろいろな付属品も嬉しい。(後にネットで調べたところ18000円の初心者用キットであることが判明)
調子笛・カポ・ピック・替えの弦、どうやって使うのか知らないストリングワインダー等が入っている。
これでも高校時代はフォークソングを友だちと弾いて、無謀にも文化祭で演奏したこともあった。
ガロ・かぐや姫・りりぃ
懐かしい思い出が走馬灯のようによぎる。
次の日から用事があり、忙しかったので触ってあげられなかったが、いよいよ初めてつま弾く日がやってきた。
調子笛で音合わせをする。
弦を切らないようにどきどきしながら弦を巻いていく。
そして、ポロンポロン、何故か最初にGコードを押さえる。
いくつかのコードはまだ手が覚えており、Am・Em・D・E7等思いつくまま押さえてみる。
「結構覚えてるやん!」独り言をいいながら、鼻歌まじりにぽろんぽろん。
今はWEBでいろいろな曲のタブ譜が見れるので、さっそく簡単そうな歌を探してみる。
真っ先に思い浮かんだのは「アザミ嬢のララバイ」(中島みゆき)だ。
『歌も単調なので、きっとコードも少ないに違いない』と安易な想像からだ。
案の定出てくるコードは6種類、しかも簡単なものばかり、そうあの厄介なFを除けば・・・。
このFが曲者で、知り合いの奥さんが何年もギター教室に行きながら本格的に(?)ギター練習をしているのだが彼女に「尊敬する人はFが押さえられる人」と言わしめるほどの厄介ものなのだ。
そんな話を思い出しながら恐る恐る押さえてみる。
ボロロロン。
やっぱり、鈍い音がする。
そして、手は若干攣りそうになる。
しかし、簡単に何でも押さえられたら苦労って言うものがなさすぎて逆につまらないのかもしれない。
こうして、知らないコードを日々覚え、指の先が固まり、そのうち何の苦労もなく左指は勝手にコードを抑え、右指は軽快なピッキングを奏でるのだ。
パラパラっと楽譜をめくって出るそのタブ譜を見れば何でも弾ける。
そんな日がきっとやってくるに違いない。
ギターこそ、継続は力となる唯一無二のアイテム!(かなり大袈裟!)
頭の中はもうどこぞでライブをしていて拍手喝采を浴びている自分の姿が見える。
究極のプラス思考を通り過ぎてノーテンキな不惑な年を迎えたばかりの私です。
その思いは次の日、6弦の音がなかなか合わず、巻き取っていたら3弦がぶちっと切れてしまい呆然とするまで続いた。
夢から覚めた私はそれでも、弾いてみたい曲が目白押し状態で、ここしばらくは日がなギターをポロンポロンとつま弾くんだと思う。
ギターが家にやってきた!!
その日を境に、また何かが確実に始まったのです。