春の香り

 

2月の下旬頃から家の廊下には柑橘の甘い香りが漂う。

因島の親戚か毎年美味しい八朔をいただく。

瀬戸内海の島々は美味しい柑橘の産地だ。

三原の須波や木原の海に面した山の斜面にも蜜柑や八朔の木が多く見られる。

柑橘の甘味を出すには、太陽がとっても重要で、海沿いの山の斜面だとダイレクトな太陽熱と、海に反射する熱と両方の恩恵があるということで、なおいっそうの甘さを引き出すらしい。

因島は八朔の発祥の地でもある。

1860年頃、因島田熊町のお寺「恵日山浄土寺」の境内で発見された品種で、「八朔」の名は、当時の住職であった小江恵徳が「八朔には食べられる」と言ったことから名付けられたというのが定説となっている。


実際には食べごろは2月から3月にかけなのだが、昔はそうだったのかもしれない。

ほどよい甘さの中に、ほんのりと苦味があり、それでいてみずみすしい。

今年は表作だったのか、例年よりたくさんの八朔をあちこちでいただいたので、いつもは夏みかんで作るマーマレードを八朔で作ってみた。

毎年、新緑の季節になると夏みかんをいただき、それでマーマーレードを作るのも、年末の餅つきと同じくらい我が家の恒例になっている。

手作りのジャムは春を感じさせる。

作っているときの甘い香りなのか、その綺麗な色なのか、台所にいつのまにか日が差し込んでいる暖かさを肌で感じるせいなのか。

そして、母と二人でおしゃべりをしながらジャムを作る。

 

八朔マーマレード

 

八朔 一`

砂糖 700g

レモン汁 1個分

 

1.八朔は皮をよく洗い、水分をふき取って4等分にする。実は取り出し、袋と種はガーゼなどに入れて1つにまとめておく。皮は1度下湯でする。

2.皮のふわふわした白いところをスプーンなどでこそげとり、薄切りにする

3.圧力鍋に2の皮、実、レモン汁を入れ、その植えにガーゼに包んだ袋と種をのせ、砂糖と水1/2カップを加える。

4.ふたをして、ピンが上がったら5分加熱し、火を止めて急冷する。

5.ふたを開け、水分が多いと気は火にかけて煮詰める。

 

1年かけて集めたいろいろなサイズの小瓶を煮沸消毒して、冷えたマーマレードを詰める。

「この瓶はあの人にあげよう」

「大きいサイズは毎朝パンを食べるあの家に」

そんなことを考えながら、合計5キロのマーマレードを作った。

家で食べるのは多分その10分の1くらい。

普段は家族のためにする家事のようなものが、このときばかりは心を込めるサークルが広がる。

なんだか自分が少しいい人になったような気がする。

 

やがて、苺ジャムや無花果ジャムがサークルの中から優しい円を描きながら投げ込まれる。