祭りのあとさき

これでやっと寝不足の日々から解放される。
お盆休み終盤の8月15日開幕した世界陸上ベルリン大会が、23日静かに幕を閉じた。
なにしろテレビの下に寝床があるので、寝る寸前までリモコンを握りしめて家族の顰蹙をかいながらも眠りの世界にストンと落下する寸前まで熱戦を見続けた。

私は自分でも呆れるほどスポーツ観戦が好きだ。

陸上競技はもともと日本人には体格の不利もあってか、マラソンくらいしか目立った活躍をすることもなかったが、去年の北京オリンピックでは、4×100m男子リレー(塚原・末つぐ・高平・朝原)が史上初の銅メダルを獲得して日本中が歓喜した。
ハンマー投げの室伏広治は、2004年のアテネオリンピックでの金メダルを含め、5個のメダルを獲得しているが、これは別格で、今回は故障のために出場しておらず、日本人の活躍はあまり期待していなかった。
それでも、初日の男子100m予選から、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)の世界記録更新の期待のボルテージは上がる。
結果的にボルトは、いとも簡単に北京で出した自己の記録を更新して、100m、200mと二つの驚異的な世界新記録と共に金メダルを獲得した。
意外なことに世界新記録は、男子はボルトが出したこの二つだけ、女子はハンマー投げのアニタ・ウロダルチュク(ポーランド)一つに留まった。
7月にローマで行われた世界水泳では、競泳種目でなんと43の世界新記録が誕生している。
いわゆる高速水着の影響とされているが、陸上はそういう影響のあまり出ない、人間の肉体の限界に挑戦する、スポーツの原点とも言える。
世界新記録誕生はそうたやすくない。
だから、世界中がボルトの走りに熱狂したのだろう。

今回のTBSのテレビ中継は充実していて、ライブの中心が日本時間の深夜ということもあり、BSTBSでは日中にライブ中継の録画をそのまま流していたし、地上波でのハイライトも長時間で、日本ではあまり人気のないマイナーな競技も詳しく流してくれたので、陸上競技全般を興味深く楽しく見ることが出来た。
例えば、フィールド競技の決勝進出の条件とか、投てき競技の細かいルールとか、今まで知らなかった細かいことがわかると、ますます面白くなった。
それから、ネットのTBS「世界陸上ベルリン」公式サイトの充実ぶりは感動する。
トラック競技は予選から全て見ることが出来るし、フィールド競技も半分以上、個人別に見ることが出来る。
そして、祭りも最終日。
室伏選手の欠場と、女子マラソンで期待されていた渋井選手の土壇場での欠場で、諦めていたメダル獲得の瞬間を2回も見ることができた。
女子マラソン尾崎好美の粘りの走りは、女子マラソンの層の厚さをあらためて世界に知らしめた。
そして、誰もが期待していなかった(本人でさえも)やり投げで、自己ベストを投げて22年ぶりに決勝進出を果たした村上幸史が、決勝でも二投目にベストパフォーマンスの投てきを行い、実力ではかなり上の外国選手にプレッシャーをかけ、見事に逃げ切り銅メダルを獲得した。
無欲の彼が、はにかみながら日の丸を纏い、歓声に手を振る姿は初々しく(日本選手権10連覇のベテラン29歳ですが・・・)有終の美を飾ってくれた。

世界陸上ベルリン大会開催中に、国内では高校野球の熱戦も続き、本日決勝戦。
バレーボールワールドリーグ女子も、新生全日本メンバーで世界に挑み、熱戦を繰り広げた。
プロ野球もいよいよ佳境に入る。
26日からは柔道世界選手権も始まる。
一つの祭りが終わった寂しさに浸っている時間はなく、次の祭りがやってくる。
何が、こんなに血沸き肉踊らされるのかいまだによくわからないが、そう言えば、若い頃スポーツライターになりたかったこともあったっけ、とふと思い出した。